Column / コラム

ここ1、2年、電車に乗ると、雪山を落下していく感じを思い出すのです。
それは、クローチング姿勢で、かなり高速で、時々フワッとジャンプしたりするのです。
毎日なんです。 もう、すっかり家族スキーしかやってないのに。
総武線各駅停車なんですけどね。

燃え尽きていたのでしょうか・・・

十数年前、学生最後の狙っていたDHで、ビンディングが外れてアイスバーンに叩きつけられ、右大腿直筋断裂なんてことになって。
その頃から、妙に道端の花を美しいと感じてしまったり、トレーニングのない日々がこんなにも身体休まるものだと気付いたり。
地に足の着いた社会人に適応する為には、あんなケガでもしなければ、あの頃の私にはムリだったのかもしれません。
手術後のリハビリには1年かかり、スポーツ外科だった為に日常生活どころか競技に復活できるようカリキュラムされちゃって、
「あの、もう私、そこまでやらなくても・・・」
と思いながらも、生来のトレーニング好きもあるのか汗だくの日々が続いたのでした。
おかげで学生スキーは終わったわけですが、スラロームには復活することも出来、その後指導員検定まで受けさせて頂けました。

でも、スキー+社会人というだけで二つに情熱をそそぐ余裕のない不器用な私は、諸先輩方の生き方に感嘆しながらも徐々についていけなくなったのですよ。
まして結婚して子供が生まれたら、私めなど日々に埋もれて、ひっくりかえした砂時計の砂のように滑り落ちていったのでございます。
変わらずスキー人生を歩もうとする夫・章弘に翻弄されながら!!


それでも、指導員研修会は赤ちゃんOKのペンションなど利用しつつ、なんとか細々と続けて参りましたが、年を経るごとにいろいろなしがらみにぐるぐる巻きとなり、もうスキーはあきらめの境地でしたよ。
ですが、カービングスキーは有難いものです。
年に1、2度のファミリースキーヤーの私でも、なんとか滑れるのは今の板のおかげです。
十代の頃、SJの海和さん特集でカービングターンなるものを知り、切り取ってアンダーラインなんか引いちゃって(-_-;)、雪上では一人、足のぼしてはターンのラインをシュプールで確認(-_-メ)、相当のおたくぶりを発揮していましたが(*^o^*)、今は板に乗ってればいいワケですからね、楽なものです。(語弊ありますね、わかってるよ)

まあ、そんなこんなの十数年。
そして今シーズン、スラロームお正月スキーに久々の参加が出来ました。
ポールに入らせてもらったのですが(あの、本来ならば指導部のお手伝いをする立場でしたね。すみません!途中で気付きました・・・。また出直します。)、またポールが楽しくなってしまいました!といいますか、ガンガンだった昔は試合以外のポール練習が怖くて仕方なかったのです。
それが楽しくてしょうがない・・。


むかし近藤元会長より、
「まいちゃん、スキーは技術だけでなく、雪山に沈む夕日を見てきれいだなあとか、そういうことも感じて欲しいのだよ。」
と、阿佐ヶ谷の飲み屋でお話いただきました。
そういえば子供の頃、一人乗りリフトに乗ってはファンタジックな世界を常に想像していましたっけ。

そろそろ、何事にもストイックにやりたがる性分を改め、料理で覚えたさじ加減をうまく使って、すべてを楽しみながらいこうと思うのであります。

そして明日も、総武線に乗ってちょっぴり滑降気分を味わうのです。

2006年2月 小宮 麻衣子