Column / コラム


みなさんこんにちは、諸岡まさみです。
今回は正月スキーで起こった『痛い体験談』をお話したいと思います。
想像力が豊かな方は入場をご遠慮いただいたほうがよろしいかと・・・・・・

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1月元旦。朝、場所は「鹿沢スノーエリア」。
30日からはじまった講習も3日目で、皆の滑りにも切れが加わり磨きがかかってきた頃だった。

ポール講習のセットは大会専用バーンである第1ロマンスリフトと第2ダブルリフト、縦2本分のファースト・セカンドの連続コース。 隣では三重県強化チームが同じようにGSセットをはっている。
私は基礎講習4級チームのNakano講師に子ども達を預け、ポール練習に合流できたのが10時頃だったと記憶している。 スタートではOkuが1人、「間をあけ気味で、、、」と私にコメントを残し、スタートしていった。

コース半分まで Okuが過ぎるのを確認し、私もゆっくりコースへ入る。
1旗門目・・・2旗門目・・・気持ちのいいストレート気味のセットでどんどん加速していくのがわかる。  組めるところではクローチンングを組み、ちょっと余裕。 天気はいいし、気持ちいい!! あと4旗門でゴールだ。 コーチが見える・・・・・・・・と思ったとき、身体が宙に浮き、次の瞬間には雪上で回転しながら隣のコースのセットポールを横目で見ていた。  あ~あぁ、隣のコースに入っちゃったよ、と転がりながら思ったときには、頭上で「キャー」と悲鳴が聞こえ、女性レーサーと ブツカッタラシイ・・・・・・・

「痛ぁぁぁ」と立ち上がったが、とどこも痛くない。 板も履いたままだ。 なんだ平気じゃん。 転がってる女性は頭をふっている。 頭でも打ったかな? 
私が隣のコースに転がっていったんだから、コッチが悪いよなぁ。「大丈夫ですかぁ?」声をかけてみる。  するとその女性は私を指差しながら「ちっ、血がでてますよ!」と言った。
なんだよ鼻血でも出てんのかな? 口と鼻を抑えてみる。白いグローブに真っ赤な血がついてきた。
あれま?どこが切れたのかな? とりあえずコースから外れてしゃがみ、グローブの血を雪にこすりつけて落とした。
そのうちにKikuが走って来てくれた。 「大丈夫ですか?」 「血が出てるって言われたよ」 「あれ、口の中みたいですよ。見せてください」  とりあえず綺麗でやわらかそうな雪を口に含み、そして吐き出した。  真っ白い雪に真っ赤な血が飛び散った・・・・
「うわぁ」と言いながらも、私は、なんて綺麗な「赤色」なんだろう、と思っていた。 余裕?  
そしてKikuに口の中を見てもらった・・・・・・「パトロール呼んでください!」Kikuはゴールにいるコーチに大声で伝えた。 「えっ?あたし滑れるよ。」 「いや、一応呼びましょう」

・・・って、私の口の中はそんなに酷いの? 
「でも滑れるから最後の旗門まで降りようヨ。」 2旗門ほど滑って降りる。 少しの間パトロールのスノーモービルを待つ。 
間抜けで、ちょっと手持ち無沙汰。 顔はジーンとしている。 痛いと言うよりはしびれが強い。
ぽけぇ~と待っているとパトのスノーモービル到着。 パトのお兄さんは、どこを怪我したの?って顔して私を見ながら「乗ってください」だって。 やだなぁ~・・・
バイクのような2人乗りでパトロール本部まで、約100M。 タンカでなくてヨカッタよ。 室内に入り、パトのお兄さんが口の中を確認し「病院に行った方がいいですね」。 そして病院の地図を出して来てくれた。 
Kikuが車の手配をしてくれてる時、部屋には私ヒトリキリ・・・口の中を見てみたい!!すぐに近くの洗面の鏡の前に立つ。 ワクワクドキドキしながら「べぇー」。



・・・・「?????なんじゃこりゃぁ!」。 

舌、と言うより「べろ」がぱっくりそいだように切れて、めくれあがっていた。 傷口からお肉が見える。
これでは皆、おどろくわ、と一人納得し、待つこと30分。 その間、氷入りビニール袋を渡され、あごを冷やせと指示される。 
あー退屈。 不謹慎なのだが全く身体は元気だし、気持ちの落ち込みもなかったのだ。

ダンナの運転で約30分。 経緯を説明しながら山を降りる。 ダンナはそれほど心配してない様子、それとも私に気を使って明るくしてくれているのか? 不明・・・。
<西吾妻福祉病院> 思ったよりデカイ総合病院だ。
「今日の当直の先生は外科ですよ。 よかったですね」と看護婦さんに励まされ、なれた手つきで診察開始。
「あーー、縫いましょ」 やけに簡単に判断された。 えー縫うのぉ。 私はブラックジャックの顔の縫い傷のような「べろ」を思い浮かべた。

「その前に薬品でうがいして」・・・・・これが私に「舌を切った」と実感させるだけの痛みを十二分に与えた。
しみる! 痛い! 舌の肉が裏返る!  「ぐっうっうぅぅぅ。x◇*■☆x○!」

診察室の簡易診察ベットに横になり、手術開始。 えっ?こんなところで縫っちゃうの?
口の部分だけ丸くカットしてある紙を顔にかけられ、看護婦さんが私の身体を抑えこんた。
「麻酔しますよ。」 注射針がべろを刺す。 刺す。 刺す。 さす。 サス。 さ・・・・した?
「縫います」唇に縫い糸が伸びて触れる。 「痛ぁぁ!」 麻酔がきいてないよ先生ぇー!

初めて経験した意識のある縫合手術。 やっぱり痛いよねぇ。

無事、縫合手術が終わりドクターと向き合う。 手書きの「ベろ」の絵を見せられ
「ココの部分が下まで貫通していて、5針縫いました。そしてこの半分の個所は、繋がってからも<味覚障害>が起こる可能性があります。東京に帰ったら歯科口腔外科に行き・・・・・・」
私は一瞬言葉を失い、うなずくことしか出来ず、神妙にドクターの話を聞いていた。

<味覚障害>味覚機能が低下・消失あるいは過敏になったり、本来の味覚が感じられない状態  BY.大辞林

実のところ、元気だった気持ちも、この一言で大きくへこんだのは言うまでもない。 このあと、3日間はブルーなんて綺麗なもんじゃなく「真っ黒」だった。

その日、夕刻より舌は腫れ上がり、痛みが襲ってきた。 
話せば痛みとともに舌が引きつり、ろれつが回らず、お腹はすくのに食べられない。 食物や水分は歯によって咀嚼(そしゃく)され、舌が喉に送り込む仕事をしてくれているのだ。 その機能が失われると水すら喉に入っていかない。 泣きたい気持ちとはこのことである。

私の一番の楽しみは「飲と食」なのだ。


・・・・・・・で、今日は事故より数週間が経過し、食事もおしゃべりも可能となった。 そして、心配していた味覚障害も出ることなく回復してきている。
もうワタシッたら、回復力がすごいんです。 若いからかしラン♪

最後にこの怪我で皆様にたいへんご心配をおかけいたしました。 そしてたいへんお世話になりました。
この場をお借りし心よりお礼申し上げます。 
舌を噛み切ったのに死ななくてヨカッタ。 実感です。 ほんとうにありがとうございました。 

神様、ワタシ生きてます!