Demo / 指導部 <祝・合格>


◇息子がくれた合格証◇  報告:菊池未帆


この冬、やっと、やっと指導員検定に合格しました。
初めて受検した年は、検定前日にスノーボーダーに突っ込まれて、右脛骨膜内出血という大怪我をし断念。
翌年の二回目は、息子を妊娠し、またまた断念。
出産・子育てで一度は断念した受検でしたが、息子が滑れるようになった年にリベンジとばかりに、自信満々で挑んだ受検は、大失敗もせず無事に終えたつもりが、残念な結果になり、その翌年である今年、再び検定に挑みました。

検定前日は息子と共に検定バーンをインスペクション。
いまから思えば、急斜面設定バーンを無理矢理滑らせて、四苦八苦しつつインスペクションをし、息子にはちょっと可哀想な思いをさせてしまったかもしれません。
しかしながら、文句をいいつつも一緒に滑ってくれ、なんとかインスペクションを終わらせる事ができました。

検定当日、開会式会場に子連れでいるのは当然私だけ。
開会式で息子は静かにエライ人のお話を聞いていてくれて、とても助かりました。
検定会役員のオジサマ方に「静かにしててエラかったねぇ~」と、ほぼ全員に頭をナデナデされ、「や~め~ろ~よ~!」とあからさまに嫌な顔をする息子。
おいおい、頼むから悪い印象を残さないでくれー!と、ちょっとビクビクしておりました。

いよいよ実技検定、息子の面倒を見てくれる人が居なかったので、ギリギリの時間にスキースクールに息子を預け、ギリギリスタートに間に合った私。
リフトの上から点呼の返事をしていたのは、多分、私だけでしょう....。
スタート係のオジサマに「子供はどうした?」といきなり聞かれたときには、ちょっとドキッとしてしまいました。


二日目、あと一種目で終了と言うとき、またまた別の検定会役員のオジサマに「今日は子供はどうした?」とゲレンデで聞かれた瞬間、偶然、目の前で息子が若菜さんに連れられ滑っており、「あ、あそこで滑っているのが息子です!」.....ニンマリとした笑顔を残し、オジサマは去っていく.....そのニンマリはあることの兆しだったとは、その時の私には知る由もありませんでした。


検定実技種目においては、全般を通して落ち着いて滑る事ができ、自分のポテンシャル8割で滑る事ができたと言うのが印象。
(但し、不整地小回りの待機中は、激しい緊張のため、体中の穴と言う穴から毒々しい煙が噴出していたに違いありません。)
大きな失敗もせず、また思い残す事もなく、あとは野となれ山となれという状態で検定を終わらせる事が出来ました。

しかし、実技検定も無事に終わり、翌日の合格発表を待つのみとなった夜は、「まな板の鯉」。
居てもたっても居られず、宿を共にした岡田君、伊藤君などと深酒をし、さらに翌朝に緊張のあまり予定より早く起きてしまい、つい二度寝をしてしまったその時.......息子が「かーちゃん、朝だよ」と起こしてくれたのはすでにかなりヤバイ時刻!
慌てて着の身着のまま、片山副会長が運転する車に乗車。 
車内で慌ててなんとか人間っぽい顔を形成し、ボサボサの頭はとりあえず帽子で誤魔化しちゃえ!
ってな具合で合格発表にギリギリ間に合ったのでした。

そして、ドキドキの合格発表。なんと私はゼッケン3番。
合格者番号を呼ばれるとき、さっさと終わってしまう!もし呼ばれなかったら、じっとしていなくてはならない時間が長いではないか!
と、最悪の事態を想像しようとした瞬間に、「3番」という声を聞き、安堵の世界へと入っていきました。

隣に座っていた友達も合格し、互いに合格の喜びでヘナヘナになっていると......「合格証授与にうつります。それでは合格者を代表して、ゼッケン3番、菊池未帆さん前へ!」.......は?へ!?ほ?!....Tシャツは腰から飛び出してるわ、頭はボサボサだわ、汗はかくわでテンヤワンヤしていると、会場からクスクスという笑い声が....。

「彼女は、今回お子さんと一緒にこの検定に挑みました。その姿が、ジャッジ全員の心に響き、満場一致で合格者代表として選びました」

この一言で、あっ!と気が付いたときには息子はどこ?状態で、きっと検定会役員の方々は合格証授与時に、息子と共に(壇はありませんでしたが)壇上に来て欲しかったんじゃないかと。
この粋な計らいを私はボサボサな頭な上に、息子もおらず、演出を丸つぶしではありませんか!
しかし、合格証を手にし、サッと振り返り、合格者全員に「みんな、おめでとー!!」と叫んだ瞬間、「うぉー!」という歓喜の声で会場は盛り上がり、なんとか演出をリカバリーできた気持ちで居ます。
また、スラロームスキークラブ全員が合格でき、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。

今から振り返ると、この代表での合格と言う、素晴らしい体験をさせてくれたのは息子。
この合格証は、息子が私に与えてくれたのではないかと感じています。

講習会のたびに子守&特訓をしてくれた諸岡徹さん、諸岡遼ちゃん、検定当日にサポートに来てくださった片山副会長、岩根若菜さんに改めて御礼を申し上げます。
このたび、無事にB級検定員にも合格できたのも、みなさまのおかげです。

そして最後に、シーズン中、常に行動を共にし、トレーニング中にブルーな気持ちに陥らせないよう、爆笑発言を頻発してくださった諸岡正美さんに、大感謝いたします。

スキー界の発展には貢献できないかもしれませんが、自分なりに身の丈にあった貢献を続けていこうと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

2008年3月




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